小型船舶の推進方式には、「船外機」「船内機」「船内外機」という3つの主なタイプがある。船外機は特に人気が高く、ほぼすべての製品がガソリンエンジンを搭載している。一方、船内機や船内外機にはディーゼルエンジンが多く採用されているが、なぜ船外機にディーゼルエンジンがほとんど見られないのか。その理由を以下で考察する。
本記事の内容は、筆者・理屈コネ太郎の独断と偏見によるものであることを踏まえ、知ったかぶりとして読み進めていただきたい。
Contents
ディーゼルエンジンが船外機に適さない理由
船外機にディーゼルエンジンがほとんど使われない最大の理由は、エンジンサイズの大きさと出力特性にある。
ディーゼルエンジンは燃料に着火するための圧縮比を高くする必要があり、それを支える頑丈な構造が求められる。このため、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて大きく、重くなる。
さらに、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの出力特性も異なる。ガソリンエンジンは高回転型で、プロペラを高速回転させ、小型船をプレーニング(高速航行)させるのに向いている。一方、ディーゼルエンジンは低回転で高トルクを発揮し、排出量型の重い船を力強く推進する用途に適している。このため、プレーニングを重視するサイズの小型船舶では、ディーゼルエンジンは出力特性上不向きとされる。
ガソリン船外機が選ばれる背景
船外機は装着や取り外しが容易で、修理や交換も比較的簡単である。この利便性が、船外機が小型船舶で広く使われる理由のひとつである。また、ディーゼルに比較すれば軽量であることも重要なポイントで、ガソリンエンジンが選ばれる大きな理由となっている。
ディーゼルエンジンの場合、高圧縮比のための長いストロークのため、特性上プロペラの回転数を高く保つことが難しい。このため、高速航行を求める用途ではガソリンエンジンに大きな利点がある。結果として、小型船舶での船外機はガソリンエンジンが圧倒的な選択肢となっている。とはいえ、そんなに頻繁にプレーニング速度を出すボート乗りはいないので、実際のニーズとはマッチしていない現状なのかも。
実際に存在するディーゼル船外機
理屈コネ太郎は過去に海外メーカー製のディーゼル船外機を目にしたことがあるが、そのサイズは非常に大きかった。また、業者の話では、日本では認可が下りておらず、海外では運用実績があるものの日本の海面での航行実績はまだないという。理屈コネ太郎がその際にみたのはたぶんOXEという海外のメーカーだと思う。OXE社のサイトへはココをクリック。
ディーゼル船外機が普及しない結論
船外機においてディーゼルエンジンが普及しない理由は、エンジンの大きさと重量、そして出力特性がガソリンエンジンに比べて不利であるためである。また、プレーニングが求められる用途や、小型船舶で重視される利便性を考えると、現状ではガソリン船外機が合理的な選択となる。ディーゼル船外機が主流となるには、さらなる技術革新や規制緩和が必要となるだろう。
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今回は以上。