ノート4WDの真実|FF vs 4WDの加速競走を理屈で検証

ここ数日のノート4WDの運転を通じて、『理屈コネ太郎』の推察では、加速性能においてFFと4WDの勝敗はFFの圧勝であると結論づけた。もっとも、実際にFFモデルと4WDモデルで加速競走を行ったわけではないので、あくまで知ったかぶりの思考実験である。

以下、その理由をダラダラと述べてみる。暇つぶしのお役に立てば幸いだ。

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4WDはFFより加速が遅い?その理由

要点は、ノート4WDの駆動用電力の供給源、つまり発電エンジンと動力バッテリーの給電システムがFFと共通であることにある。日産が特別な4WD優位の制御を施していないとすれば、100㎏以上軽いFFのほうが加速性能が良いのは当然である。(高μの水平直線路での話だ)

『理屈コネ太郎』は当初、ノート4WDの給電システムは短時間でも前後モーターが最大出力・最大トルクを同時に発揮できるものと考えていた。(詳しくは当サイト内『ノート4WD e-Powerの不思議』を参照)

なぜなら、カタログのエンジン&モーター主要諸元表では「前後モーターの最高出力は同時に発揮できません」という記載が(おそらく)ないからだ。しかし、実際に乗ってみると、その前提は崩れた。ノート4WDはFF以上に速いとは全く思えない。

135kW&380N·mのクルマとしては、まるで速くないのである。

給電システムの問題

おそらくFFと4WDの給電システムは共通であり、動力バッテリーはFFの発電エンジン(60kW&103N·m)と駆動モーター(85kW&280N·m)の出力差を補充するには十分な性能を持つ。しかし、FFモデルの前輪駆動モーターは単体で85kWをフルに発揮できる。逆に、それ以上の合計出力は不要である。なぜなら、駆動モーター自体が85kWだからだ。

この推察が正しければ、4WDモデルの前後2つのモーターの合計出力は高々85kWしか発揮できない。つまり、『理屈コネ太郎』が期待していた「前後モーター合計135kW&380N·mで走るノート4WD」というシナリオは幻想だったことになる。

パワーウェイトレシオの比較

加速性能に第一のこだわりがあるなら、FFの方が絶対に買いである。パワーウェイトレシオ(W/PR)は以下の通り。

  • FF:17.59㎏/kW
  • 4WD:19㎏/kW

『理屈コネ太郎』は当初、4WDのW/PRを11.96㎏/kWと誤解していた。これは大きな違いである。

それでもノート4WDを楽しむために

しかし、加速が第一のこだわりではないし、何よりすでにノート4WDを購入してしまった以上、今ある事実を受け入れるしかない。
では、FFと同じ85kWの出力しか出せない4WDのメリットとは何か?

それは、前後モーターによるトルク配分の制御による走行安定性だ。詳細は当サイト内『μの不安定な道』および『雨天・荒天時』を参照。

ノート4WDのモーター出力制御

ノート4WDでは、前モーターが最高出力(85kW)付近で動作しているとき、後モーターの出力は0kWとなり、実質FF状態となる(A状態)。以下、B状態~F状態をを下記のように定義しよう。

  • A状態:前モーター85kW、後モーター0kW
  • B状態:前モーター75kW、後モーター10kW
  • C状態:前モーター65kW、後モーター20kW
  • D状態:前モーター50kW、後モーター35kW
  • E状態:前モーター40kW、後モーター45kW
  • F状態:前モーター35kW、後モーター50kW

このデータをグラフ化すると、ノート4WDが制御可能な範囲が分かる。

FFは前モーターのみで制御するため、制御範囲は一次元(縦軸の線上)のみ。一方、4WDでは前後モーターの組み合わせでA~Fの間をシームレスに移行できるので、下記にぐらるで塗りつぶされた範囲内の二次元の制御が可能となる。

つまり、ノート4WDの本当の強みは「加速性能」ではなく「前後の駆動力配分による走行安定性」にあるということだ。

期待と現実のギャップ

ちなみに、『理屈コネ太郎』が想像していた制御範囲は異なる。もしノート4WDが前後モーター合計135kWで走れる仕様なら、制御範囲はより広がり、W/PRも11.96㎏/kWになっていたはず。その場合の制御範囲のグラフを下記に示そう。

しかし、現実は85kWまでしか出せないので、その期待は幻に終わった。下記グラフの塗りつぶしの部分の制御は、現実のノートe-POWER 4WDでは実現できない領域の制御なのだ。

日産の公式回答

なお、日産お客様相談室に確認したところ、やはりノート4WDでは前後合計で85kWの出力となり、135kW&380N·mの状態で走行することは不可能とのことだった。また、その旨の記載がカタログにはないことも確認済み。

さらに、前後輪とは別に左右の車輪を個別制御する機能はなく、前後のディファレンシャルギアに相当する軌道長修正装置を備えていることも判明した。

終わりに

カタログの情報は正しく理解しないと誤解を招く。今回の件で『理屈コネ太郎』は「期待と現実のギャップ」を痛感したが、今あるノート4WDを活かす方向で楽しんでいくことにした。

補記:大雪の日の積雪路での走行性能については【こちら】を参照。システム出力はFFと同じでも、4WDのトルク配分制御によって積雪路での走行性能は大きく変わる。

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