2022年11月某日、待ちに待った船がやっと係留場所のマリーナにやってきた。これから、好きな時に好きなだけ船に乗れる…と思うと、高ぶる高揚感と重い責任感に挟まれて、なんとも筆舌に尽くしがたい感情に襲われる。
しかしそれも、海に浮かんでいる愛艇の姿を見てしまえば、ただただ嬉しいばかりの『理屈コネ太郎』。
私がマイボートを係留するのは、こういう場所。自宅から車で約1時間半くらいの場所にあるマリーナである。
東京湾内にも、相模湾にも、千葉方面にも、伊豆七島にもアクセスの良い場所にある。
このマリーナには下の写真のように舟艇を陸揚げしたり海に降ろしたりするための大型クレーンが2機もある。
給油施設も、整備や修理をするヤードもある。ベテランから若手までスタッフが多数常駐してくれている。
そう、ここは船舶免許を取得して以来約15年間にわたり一度も船を操船していない『理屈コネ太郎』には最適なマリーナ。付帯するレストランの食事も美味しい。
『理屈コネ太郎』が購入したいと思っていた船の正規代理店がこのマリーナを運営する会社で、そのお蔭で発注時に仕様決定からバースの契約、そして回航までシームレスにサービスを受けられたのはまさに僥倖だろう。
既述したように若い職員も沢山いるので、自分1人での着岸に不安がある状況ならば、洋上から事前に電話で依頼すればバースまで来てくれて、着岸の手伝いをしてもくれる。
本当にありがたい。
繰り返して恐縮だが、発注して約1年待って、とうとうこの船を海上で思うまま操縦できる日がやってきた。
感無量である。
スタッフの御厚意で進水式をしてもらい、船を引き渡して貰った。
上の写真は安全祈願にボートにノンアルコールワインみたいなのを軽く振りかけているところ。
で、その若干アップの写真。
ご覧いただけるように、わが愛艇はホンダ250馬力の2機掛け。写真では分かりにくいが全長は9m弱あり、初心者には明らかに持て余し気味の船である。
余談だが、このエンジンは水冷V型6気筒3600ccのV-Tech搭載の250馬力。それが2機なので12気筒7200ccの500馬力って事なる。スポーツカーなら1Lあたり100馬力以上が普通だが、舟艇用のエンジンは恐らく信頼性優先の設定なのだろう。
因みに『理屈コネ太郎』の愛機トヨタGRヤリスRZHPは1.6Lターボで272馬力で370Nmであるから、この船外機はきっと高い信頼性を得るために出力を控えめにしているのだと思う。
更に余談だが、2機掛けの場合は船外機のプロペラの回転方向は左右で逆方向となっていて、プロペラ回転トルクが船体の挙動に及ぼすによる影響をキャンセルする仕組みになっている。
下の写真は艤装中の状態だが、右のプロペラは右回転で、左のプロペラは左回転で前方への推力を発生する。
9m弱の大きさと250馬力2機掛けのこの船は、普通はもう少し小さな船で経験を積んでからステップアップで購入するような船だ。その方が安全だし、なにより他者に迷惑をかける確率も低くなりそうだ。
この船はペーパーキャプテンがソロ操船前提で購入するにはサイズも性能も過大だと『理屈コネ太郎』自身が思っている。
『理屈コネ太郎』がいきなりこのサイズの艇を買った理由は主に2つある。
第一に、もし経験を積むために小さな船を買ってしまっていたら、ステップアップのためにこの船を買う資金を揃えることは多分できない…と考えたこと。
第二に経験を積む時間は今後の私にとっては老化の時間でもあること。
これから体力&知力が低下していくしかない事を考えると、決定的な経験不足というリスクよりも、このサイズの船を今購入するベネフィットの方が大きいた判断したのだ。
9mに届かないとはいえ、私の愛艇は結構大きい。
この船の中には寝室相当の部屋が2つあり、トイレとシャワーもある。安全上の配慮から使用するつもりはないが一口ガスコンロと小さなシンクもついている。小さな冷蔵庫もある。
そしてなんと陸電使用時にのみ限られるがエアコンもついているのだから堪らない。
要するに、すごーく小さな2DKとしてなんとか居住できてしまえるサイズなのだ。すごく小さな一軒家が海上を走っていると思って貰えれば分かり易いかも。
当然、操船操作に対する船体の挙動はクイックではない。加えて、風や潮の影響は受けやすい。
よってこの船を安全に運用するには、操船の知識が不足している分を、現在までの人生で培ってきたありとあらゆる知識を総動員してなんとか埋め合わせするしかない。
操船にはクルマやバイクの運転経験はあまり生きない。むしろ若い時に取得した飛行機のライセンス(失効して長い。再度取得するつもりはない)の経験や、職業上の危険予知や危機管理の知識と経験の方が役立つだろう。
話を納艇に戻そう。
下の写真は、納艇の日、約1年待った船に乗船して感無量でバウに立つ私である。あまりの嬉しさ故に感じている茫然自失感まで良く映っているのが笑える。
この写真を撮影した後、担当セールスの人と一緒に海に出た。半日かけて操船を含めて船の扱い方の指導を受けるためである。
これが船舶免許取得後初めての操船である。
そして下の写真は、その日に習うべき内容について一通りの指導をうけた後に自分のバースに着岸してロープで結んだ直後。
このあと、とっても重たい陸電コードを船に接続し、エンジンの冷却水通過路を水道水でフラッシュし、船を水道水でワリとしっかり洗って終了となった。
この日に学んだ事、感じた事はとても数多いがそれはまた別の機会に別頁を起こして記載しようと思っている。
きっと私と同様に無経験のペーパーキャプテンが少し大きめサイズの船を買う上で役立つ情報を提供できると考えている。
今回は納艇されて、アラカンペーパーキャプテンが本当に船に乗り始めましたよって事を書いててみました。
目標はとにかく安全に、他者に迷惑をかけず、冒険をする事。
今回は以上
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