日本型縦社会の序列の中で、多くの人が見誤り踏み越えがちな指導と叱責の境界線。
この境界線を不用意に超えて叱責すると組織の活力や生産性を低下させるし、パワーハラスメントと認識されて訴訟問題にも発展しかねない。
指導と叱責の差の原因は、本ページの続編『指導と叱責の違い②』でも述べるように本質的には指導者の精神的未成熟とメタ認知能力の不足そのものなのだが、指導側の未熟さよりも部下や後輩の受け取り方の未熟さのせいにされがちである。
なぜなら、指導者の方が組織内序列が上位だから。
つまり、上位者は自分を棚に上げがち。
自分を棚に上げて叱責している事のネガについて周囲よりフィードバックを受けないので、更に増長してしまう。(こういう人は周囲からフィードバックを受けても聞き入れないかも。しかし上司から指示されると途端に態度が変わる事もある)
日本の上司部下関係、先輩後輩関係では上司や先輩は”自分を棚に上げてもよい立場である”との誤解を醸成してしまう。
俺はコイツにはこういう事をこういう言い方で言ってもよい、なぜなら俺は先輩(上司)だから。というヘンテコな論理。
本来、先輩や上司は自らの指導法の上達を心がけるべきなのに、自身の成長を棚にあげて部下や後輩の成長不足だけを責める。
こうした自身の成長不足を棚に上げる指導側がしがちな叱責と、本来あるべき指導の外形的な違いを具体的に下記に列挙してみたい。
繰り返して恐縮だが、叱責と指導の違いの本質的な原因は、当サイト内の『指導と叱責の違い②』や『特権階級意識を持つダメ上司・ダメ先輩』で述べるように、指導する側の精神的未成熟であることは、御銘記いただきたい。
下記各点が、読者に有意義となれば幸甚である。
- 叱責は下手な事情聴取、指導は上手な改善策提示
- 叱責は過ちに焦点をあてる、指導は改善点に焦点をあてる
- 叱責は向上心を摘み取る、指導は向上心を育てる
- 叱責は礼節に欠ける、指導は礼節を前提にする
- 叱責された人は傷つく、指導された人は勇気づけられる。
- 叱責はだいたい大声&高キー、指導は普通の声
- 叱責は人望とヤル気を奪い、指導はその反対
- 叱責はだいたい早口、指導はだいたいゆっくり口調
- 叱責は時に恫喝的口調、指導は通常の口調
- 叱責は時に長時間、指導は短時間
- 叱責は相手の反応をみない、指導は反応をみながら
- 叱責された人は萎縮する、指導された人は成長する
- 叱責は一種のマウントとり、指導は通常業務
- 叱責は「する方」が主人公、指導は「される方」が主人公
- 叱責は職員退職の原因、指導は職員定着の動機
- 叱責は「している人」が気持ちいい、指導は「された人」が気持ちいい
- 叱責は非生産的、指導は生産的
- 叱責は部下・後輩を消極的にする、指導は部下・後輩を積極的にする
- 叱責は出来なかった原因を責める、指導はやるべき事を素朴に伝える
- 叱責は責任回避を生む、指導は責任感を生む
- 叱責は責める、指導は導く
- 叱責は個人への怒り、指導は組織への愛
- 叱責は人をフテクサせる、指導は人をキラキラさせる
- 叱責は怒りのはけ口、指導は受容
- 叱責は怒り先行、指導は理性先行
- 叱責する人は指導を名目にしている、指導する人は組織成長を目指している
- 叱責するは人は組織内の敵、指導する人は常に仲間
- 叱責は自らの進歩を放棄した指導者が行う、指導は自らも進歩しようとする指導者が行う。
- 叱責はホウレンソウを骨抜きにする、指導はホウレンソウを機能させる
- 叱責は”どうしてそんな事も出来ないのか”を責める、指導は”どうしたら出来るか”を説く”
と、色々と書き連ねたが、いかにも組織の生産性が下がり、戦力として迎えたはずの部下や後輩の退職を促しそうではないだろうか。指導側の精神的未成熟とメタ認知力不足が叱責と指導の差の源なのである。
精神的に未熟な上長に指導された後輩・部下は、上長側の発言と行動の乖離に驚き、傷つけられ、不快となり、それが継続するようだとハラスメントと認識する。
職員が職場に幻滅して退職するし組織の成長・発展が阻害されてしまう(詳細は当サイト内に記述済。興味ある方は”ココ”をクリック)。
そして最悪の場合、ハラスメント訴訟を起こされ会社は管理者責任も問われかねない。叱責と指導の職場における決定的な差にくれぐれのご留意を。
現時点では以上。
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