大腸内視鏡の直腸挿入|初心者は無送気・残液吸引にこだわるな

大腸内視鏡挿入法において、達人名人の成書では直腸での残液吸引や無送気挿入を強調する意見は多い。しかし、初心者のうちはこれらにこだわる必要はない。

特に炭酸ガスを使用する施設では、直腸に少量送気してもS字結腸の屈曲を強めることはほとんどない。左側臥位での挿入では、直腸はS字結腸より高い位置にあるため、適度な送気で管腔を開き、進行方向を見つける方が効率的だ。

書籍や動画で達人たちが「直腸の残液吸引」「無送気での挿入」を推奨することは多いが、これは膨大な症例数と高度な技術を持つ者だからこそ可能な手法であり、初心者が無理に取り入れるとむしろ挿入時間が長引く恐れがある。

🔹 初心者が優先すべきこと
スコープと腸管の関係を把握
 ・右手に伝わるスコープの感触から、腸管との摩擦や屈曲部の抵抗を理解する
抵抗なく進めるルートを探る
 ・プッシュ・プル、ジグリング、送気・吸引、体位変換、用手圧迫などの技術を駆使する

こうした基本を習得すれば、盲腸到達率は自然と向上し、その後の観察や処置もスムーズに行える。経験を積んだ後、必要性を感じたら直腸の残液吸引を取り入れればよい。

内視鏡挿入の最優先課題は「患者に苦痛を与えず、短時間で盲腸まで到達すること」。この原則を忘れず、まずは“平均的な内視鏡医”を目指そう。名人の技はその先にある。

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