患者に寄り添う医師の診療能力は本当に高いのか?
このテーマについて、理屈コネ太郎の独断と偏見による私見を述べる。
医師に求められる能力は多岐にわたるが、特に重要なのが診療能力と患者への寄り添い方である。この二つは密接に関連しながらも、異なる性質を持っている。
- 診療能力は、医学的知識や技術の習得を通じて、体系的かつ計画的に学習する必要がある。
- 寄り添う能力は、感性や経験、人間関係の積み重ねを通じて磨かれる性質が強い。
ここで疑問が浮かぶ。果たして、この二つの能力は両立するのだろうか?
Contents
寄り添う医師が「良い医師」とは限らない理由
診療能力の高さを患者が正しく評価するのは難しい。
例えば、
- 診断の正確性
- 選択した治療法の適切さ
これらを一般の患者が判断するのは困難だ。多くの場合、患者は医師の診療の技術的な根拠を十分に理解できず、代わりに**「寄り添う姿勢」**で医師を評価する傾向がある。
- 「この先生は親身になって話を聞いてくれる」
- 「優しくて安心できる」
こうした印象は、診療内容以上に患者の評価を左右する要素となる。結果として、患者に「良い先生」と評される医師は、必ずしも診療能力が高いわけではない、という現象が起こる。
寄り添い重視の医療がもたらすリスク
ここで懸念すべきは、寄り添う能力ばかりが評価され、診療能力が軽視されることだ。
① 寄り添いは簡単に演出できる
診療能力を向上させるには、長年の勉強と経験が必要だ。しかし、患者に寄り添う姿勢は比較的容易に見せることができる。
- 共感的な言葉をかける
- 笑顔で接する
- 患者の話をよく聞く
こうした行動は短期間でも身につけられるため、診療能力向上の努力を怠ったまま評価を得ることが可能になってしまう。
② 診療能力の低い「寄り添うだけの医師」が増える危険性
仮にこの傾向が強まると、医療の現場に「患者に優しく寄り添うだけの医師」が増えてしまうリスクがある。
- 本来、適切な診断や治療をすべき場面で、患者の感情に寄り添うだけで終わってしまう
- 結果的に、誤診や不適切な治療のリスクが増える
医師が寄り添うこと自体は重要だが、それが診療の本質を置き去りにしてはならない。
患者自身の評価基準にも問題がある?
患者は医師に**「寄り添い」を求めるが、同時に「正しい治療」**を受ける権利もある。しかし、患者の評価が寄り添いの姿勢ばかりに偏ると、次のような問題が生じる。
- 診療の正確性や科学的根拠が軽視される
- 「優しい医師」が評価され、「的確な医師」が評価されない
- 結果として、医療全体の質が低下する
この現象が続けば、患者自身が「本当に良い医療を受ける機会」を逃すことになりかねない。
医療の本質は、診療能力と寄り添いのバランスにある
本来、医療は科学的な診療と人間的な寄り添いの両立によって成立するものだ。どちらか一方に偏れば、本当の意味での「良い医師」は生まれない。
- 診療能力を高める努力を怠らず、正しい診断と治療を提供する
- その上で、患者に安心感を与えられる寄り添い方をする
このバランスを意識できる医師こそ、真に信頼される医師ではないだろうか。
結論:「寄り添い」だけでは患者を救えない
医師が寄り添うことは重要だが、それが診療能力の向上を妨げる理由になってはならない。また、患者側も**「優しさ」だけで医師を評価するのではなく、「正確な診療」を受けることを意識すべき**だ。
診療能力を向上させつつ、寄り添いの姿勢も大切にする医師が増えることを願う。
そして、医療の本質を見失わないことが、患者にとっても医師にとっても重要である。